ここでタイガー&ドラゴンのお話をするのは始めてですが、ドラマをあまり見ない私には珍しく、ハマっているドラマの一つです。
今回は猫の皿という噺。 とりあえずこんな噺です。
骨董を探して旅をしている男がおりました。
とある茶屋に入って疲れを癒していると、ふとそこに一匹の猫が。
その猫は餌を食べているのですが、その餌入れに使っている皿というのが、なんと「高麗の梅鉢」という、それはそれはとても高価な皿。
さては、この店主、この皿の価値を知らないな。
男はこの皿を手に入れるために一芝居打つことに。
よしよし、こっちこい、おお、可愛い猫だ。 よ〜しよし(^。^)
お客様、あんまりそいつは構わない方がいいですよ。なんたって毛が抜けて仕方ないんですから。
な〜に、いいんだよ。
実はうちのかみさんが猫をほしがっててねぇ。
そうだ、どうだいおやじ、この猫を俺に売ってくんね〜かい?
いや、タダってわけじゃぁねぇ。
3両でどうだい、小判3枚で……。
いややや、そんなに頂くわけにはいきません。
いいんだよ、俺はこの猫が気に入ったんだ。ほれ、この猫もいいっていってる(^。^)
そこまでおっしゃるなら、有り難く頂いておくことに致しますm(__)m
お、それはそうと、おやじ、この皿で餌をあげていたようだが……。
猫ってもんは相当神経質で、皿が変わると飯を食わないっていうから、この皿も一緒にもらってくよ。
いやあ、それは困ります。こっちの別の茶碗でも餌を食べますから、こちらを。
なにいってんだい、3両も払ったんだ、このくらい持って行ってもいいだろう。
いやね、お客さま。そんなところに置いてありますが、この皿は高麗の梅鉢といいまして、ゆうに300両はくだらない代物でございます。
じ……じゃぁ、あんた、な、な、なんでそんな高価なもんで、猫なんざに餌くわしてるんだい……。
へぇ、お客様。不思議な事があるもんで……。
こうしておくと……時々猫が3両で売れるんですm(__)m
とまあ、こんなお話。
さげを聞いた段階で、がははは〜〜!と笑うと共に、なるほど、と唸ってしまいます。
今回のタイガー&ドラゴンはこの猫の皿と竜二の噺家だった頃の逸話が絶妙にリンクする。
落語協会の会長の小しん(小日向文世)は人情話を得意とする落語家で頭が硬く、虎児のような型にはまらない落語家を認めたくなかった。なもんだから、小しんとどん兵衛、馬場彦は犬猿の仲。
そんな小しんに反抗する改革派の高田亭馬場彦(高田文夫)は虎児、竜二を組ませて、ビジュアル系落語をやらないかと持ちかけるが、どん兵衛は破門にした竜二に落語はやらせないと猛反対する。
そんな中、馬場彦の提案で「素人お笑いスカウトキャラバン」なるものが開催されることになり、肩書きに弱い小しんは審査員長を勤めることになる。
この小しんと竜二のあいだには、とある因縁があった。竜二が真打ち昇進をかけた独演会で、「小別れ」という演目をやることになり、当時小しんの弟子だった竜二は小しんからこの「小別れ」を教わることになっていたが、来る日も来る日も小しんは「猫の皿」しか教えてくれず、ようやく「小別れ」を教えてくれたのが、独演会前日。
当然1日で覚えられるはずもなく、独演会は散々な結果に、竜二は恥をかいてしまい、これがきっかけで竜二は落語家を辞めてしまう。
これを聞きた虎児は、常々竜二に噺家なったほうが良いと思っていたこともあり、竜二がほしがっていたビンテージジーンズを商品にすれば、スカウトキャラバンに参加するのでは?と考える。
そして、そのジーンズがめでたく3位の賞品として発表されることになり、竜二も参加することに合意する。
(なぜか3位という設定が、竜二には1位がとれるはずがないという、虎児の予想も入っていて笑える。)
スカウトキャラバン当日、竜二は審査員に小しん、どん兵衛がいることを知らずに出演。舞台の上でそれを知り、固まってしまう。
しかし、ここで竜二はなんとあの因縁の「猫の皿」をはなしだす。
(まあ、西田敏行の猫の皿がめちゃくちゃ上手かっただけに、岡田君のはちょっと……って感じだったけど、まぁ年齢も考えたら、仕方ないのかね。それにしても西田敏行は凄いね。)
演目が終わった後、し〜〜〜んとした静けさの中、竜二をスカウトしたのは、なんとどん兵衛(^^ゞ
ということで、どん兵衛が息子の落語家復帰に賛成するという形で一件落着。
どん兵衛と小しんもこれを機に、少し仲直りという雰囲気。
さらに竜二は優勝してしまい、ジーンズを取り損ねてしまうというオチ付き\(^_^)/
その後、いつもの純喫茶「よしこ」で竜二はどん兵衛に、こう食いつく。
なんであんな高価なジーンズが賞品になってるんだよ!!
さては、俺があれを探してたのを知ってたな!
へぇ、こうしておくと……ときどき面白い素人が、タダで釣れるんですm(__)m
なるほど!!! と納得するとともに、大爆笑。
そして、素晴らしすぎるお話のできばえに、なぜか涙目に……(^^ゞ
なんだかんだ随所に散りばめられた遊び心に笑いつつ、それでいて、感動する場面をドスンと打ち込んでくるあたり、宮藤官九郎、あんたはすげ〜や!!